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脳機能イメージング基礎用語集
TMS (transcranial magnetic stimulation) 経頭蓋磁気刺激
 パルス磁場によって生体内に渦電流を誘起させ,これにより神経や筋を刺激する磁気刺激法.脳神経を対象としたものを特に,経頭蓋磁気刺激と呼ぶ.磁気刺激法には,円形コイルを用いたものと,より局在性を高めた8字型コイルを用いるものがある.TMSは,頭蓋外から大脳皮質運動野を刺激し,運動誘発電位を記録することにより,運動機能の検査に用いられている.また障害の回復状態や,障害による皮質運動野の可塑性変化の検索にも用いられる.さらに皮質運動野の位置同定やマッピング,脳内の機能性連関の研究にも応用されている.特に,近年では,海外において高頻度磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation, rTMS)を用いた高次脳機能研究が多く行われている.さらに,脳神経機能検査ばかりでなく,パーキンソン氏病など運動中枢系疾患の治療やうつ病や分裂病など精神疾患の治療への応用も近年試みられている.

MEG (magnetoencephalography) 脳磁図
 脳神経の活動に伴って発生する微弱脳磁界を計測したもの.脳の活動に伴い,頭部の周囲で観測される磁場は大きさは,10-12Tから10-15Tのオーダで,高感度なSQUID磁束計を用いて計測できる.脳磁図を測定することにより,聴覚,視覚,体性感覚など一次感覚野の応答から,記憶や言語活動など高次機能における脳の活動部位を推定することができる.
EEG (electroencephalography) 脳波
 脳神経の活動に伴って発生する電気活動を,頭皮上の2点問の電位差で記録したもの.アルファ波などの自発脳波と,外部からの刺激によって誘発される誘発電位(evoked potentia1)がある.何らかのタスクによって誘発される事象関連電位 (ERP: event related potential) を用いて脳機能の測定にも用いられている.
NIRS (Near-infrared spectroscopy) 近赤外分光法
 波長700〜1200nmの近赤外領域の光は生体組織をよく通過する.また,ヘモグロビンは,酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの酸素化状態の変化に応じて,吸光スペクトルに特徴的な変化を示す.酸素化と脱酸素化で吸光度が大きい波長の光を用いることにより,血液の酸素化状態の変化を捉えることができる.この,酸素化状態の変化を基に機能情報を描出するのが,近赤外光を用いた光計測である.

MRI (magnetic resonance imaging) 磁気共鳴イメージング
 磁気共鳴現象を利用した断層像,あるいは立体像撮像法のこと.磁気モーメントをもった原子核を静磁場の中におくと,静磁場の大きさと原子核によってきまる特定の周波数の電磁波を外部から与えるとエネルギーの共鳴吸収,いわゆる磁気共鳴がおこる.共鳴信号を検出してイメージングを得るが,このままでは位置情報が信号に含まれていないため,位置情報を得るため,線形勾配磁場を加え,位置情報を周波数,位相の変化として信号にエンコードする.得られた信号を2次元フーリエ変換することによって二次元断層像を得ることができる.
fMRI (functional Magnetic Resonance Imaging) 機能的磁気共鳴画像
 脳神経の活動にともなう血液量の変化や,血液の酸素化の度合いを特徴的に描出するMRIのこと.神経の電気活動を捉えるMEGやEEGに対して,fMRIは血液の情報により脳活動部位を抽出するため,時間分解能は数100ミリ秒から1秒以上である.MRIにより機能を描出する方法はいくつか提案されているが,現在では,血液の酸素化の違いによる磁化率の違いをもとにしたBOLD効果を用いたものがほとんどである.
BOLD (Blood oxgenation level dependent) ボールド効果
 血液の酸素化の違いによってMRIの信号強度に違いが現われる現象.酸素化ヘモグロビンは反磁性であるが,酸素を解離した脱酸素化ヘモグロビンは常磁性である.脳活動によって活動部位では酸素が消費され,酸素化ヘモグロビンが脱酸素化に変化する.このとき,酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンで磁化率が異なるため,MRI信号の減少(脱酸素化ヘモグロビンの増加時),MRI信号の増加(酸素化ヘモグロビンの増加時)が生じる.現在BOLD効果と呼ばれているのは,活動部位に多量の血液が流入し,酸素化ヘモグロビンの量が増加し,それに伴って信号が増加する現象をいう場合が多い.