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研究プロジェクト
1. 脳機能ダイナミックスイメージングによる脳機能研究
 fMRI(functional magnetic resonance imaging)や脳磁図(magnetoencephalogram)などの非侵襲脳機能計測法の進歩により,脳の機能局在が明らかになりつつある.しかし,脳機能のダイナミックス,すなわち,ミリ秒での機能部位の変化や脳内神経ネットワーク相互の関連性をこれらの手法で調べるには多くの困難を伴う.本研究は,脳機能ダイナミックスの解明のため,脳神経の局所的磁気刺激による脳神経活動の制御,及び神経電流活動の電流分布イメージングを用いて,高時間分解能,高空間分解を有する新しい脳機能ダイナミックスイメージング法を構築し,神経電磁気現象に関する様々な脳機能情報を解析して,脳機能の動的機構の解明に迫る.
2.磁気を用いた脳研究に関する要素技術の研究・開発
 MRI,脳磁図,経頭蓋磁気刺激(TMS, transcranial magnetic stimulation)など,磁気を用いた手法が非侵襲脳機能研究に多く用いられている.これらの技術は,まだまだ発展途上であり,脳機能研究に役立てるためには更なる研究が望まれている.本研究では,以下のような,基礎的な研究を行っている.

 ・脳の神経電気活動と脳血液変化との関連性を調べる.
 ・脳神経細胞レベルでの磁気発生機構を高分解能磁気計測装置を用いて調べる
 ・脳磁図より脳内電気活動を推定する逆問題の新しい解法の開発
 ・脳神経多点頻回磁気刺激法の開発
 ・脳深部磁気刺激法の開発
3.経頭蓋磁気刺激を用いた視覚認知機構の解明
 パルス磁場によって生体内に渦電流を誘起させ,これにより神経や筋を刺激する経頭蓋磁気刺激(TMS, transcranial magnetic stimulation)が脳機能イメージングの有効な手段として注目されている.TMSは単発パルスの強度,あるいは連続パルスの強度や周波数を制御し,脳神経の興奮を時間的空間的に自由に妨害したり遮断したり自由に制御することが出来る.この特徴を用いて,脳の機能に一時的に障害をおこす仮想障害(virtual lesion)の手法が脳機能研究に用いられている.本研究では,視覚探索,文字認知,顔認知等の視覚認知における脳内処理過程を調べるために,TMSによって仮想障害を起こす位置や時間などを細かに制御して,視覚認知に与える影響を調べ,時間的,空間的な視覚認知脳内情報処理過程,すなわち神経ネットワークを調べる.
4.経頭蓋磁気刺激(TMS)と脳波の同時計測
 ヒト脳の経頭蓋的磁気刺激TMS (transcranial magnetic stimulation)は,ヒト大脳皮質を3-5 mmの分解能で選択的に刺激することが可能となり,経頭蓋磁気刺激が臨床神経生理や基礎研究で広く用いられている.しかし,磁気刺激の効果を明らかにするためには,磁気刺激によって,脳の内部にどのような電流が流れ,どのような神経が興奮しているのか理解し,脳内部でどのような変化が起こっているのか明らかにする必要がある.我々は,磁気刺激と同時に脳波計測が可能なシステムの開発を行い,磁気刺激直後の脳波の計測を行っている.磁気刺激は,瞬間的にコイルに大電流を流し磁場を発生させるため,脳波を測定することは困難だが,我々は,脳波測定アンプを新たに開発し,刺激後数ミリ秒から脳波が測定できるようにした.現在,このシステムを用い,脳機能ダイナミックスの研究を行っております.
5.NIRS(近赤外分光分析法)による脳機能計測
 fMRIやMEG(脳磁図)のように大掛かりな装置を必要とせず,簡単に脳の活動がイメージングできるとして,近年,NIRS (Near-infrared Spectroscopy)を用いた脳機能研究が,広い分野で使われつつある.しかし,そのデータ解析法はまだ十分なものがない.我々の研究室では,脳波計測と組み合わせ,NIRSデータの新しい解析法の解析を行っている.
 また,自閉症などの発達障害児童に対してNIRSを用いた計測を行い,病態と脳機能との関連性を調べる.
6.無線センサによる回内回外運動定量評価システムの開発
 注意欠陥・多動性障害(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder,ADHD)等の発達障害が疑われる児童は,医療や教育的なケアが必要であるにも関わらず,診断が難しく発見されにくい場合が多い.回内回外運動はそのような児童が呈する微細な徴候を評価するための方法の一つとして知られている.この運動の定量的評価を,無線加速度・角速度センサを用いて行い,子供の発達の状態を客観的に評価,さらには発達障害児の診断に用いる試みを行っている.